eゼミ:ローマ法王葬儀(PTW第13回)

このエントリーのコンセプトについては「はじめに」をお読みください。
今回のお題(Economist誌より):
An estimated 2m people were expected in central Rome ahead of the funeral of Pope John Paul II. The death of the 84-year-old spiritual leader of the Catholic church was announced on April 2nd, unleashing a wellspring of emotions from pilgrims gathered in St Peter’s Square. The pope’s body was taken to St Peter’s basilica where thousands filed past to pay their respects. The College of Cardinals announced that the conclave to elect a new pope would begin on April 18th.


A子さんからのメール。

PTW
およそ2百万人の人々がローマ法王ヨハネ・パウロ二世の葬儀より先にロー マの中央に集まった。キリスト教の神聖な指導者である彼の84歳での死去は4月2日に公表され、サンピエトロ広場に集まった巡礼者たちの悲しみを引き起こした。ローマ法王の遺体は数千人の人々がこれまでに敬意を払ってきたバチカンのサンピエトロ大 聖堂に運ばれた。 枢機卿は新法王選出を4月18日に開始すると発表した。
【背景】ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(84)が2日夜に死去したことに伴い、葬儀と新法王選出への手続きが注目されている。いずれも、ヨハネ・パウロ2世自らが1996年にまとめた「使徒憲章」に定められている。まず最初に、カトリック教会の行政上の職務を担当する枢機卿たちが枢機卿会議を開き、葬儀の日取りと法王選出会議の開始日を決める。 使徒憲章の決まりでは、法王の遺体はサンピエトロ大聖堂に安置され、一般の弔問を受けた後、死後 4〜6日後に埋葬されなくてはならない。 服喪期間は、亡くなった翌日から数えはじめて計9日間。法王選出会議は法王死去から15日たたないと開始できず、開始は死後20日以降を過ぎてはならない。
2文目のApril 2nd,〜以降の訳し方がいまいち分かりませんでした。
今回PTWのローマ法王の件を調べて、葬儀には世界各国の首脳らも参例し一般の人々もかなりの数が集まったようで、いかに人々がローマ法王に敬意を払っていたのかを改めて知りました。今後の新法王選出の様子に注目したいです。

私のメール。

最初の文は、were expectedなので、集まると予測された、です。悲しみを引き起こしたというか、ちょっと詩的ですが、集まった巡礼者たちを神聖なる感情の渦に巻き込んだというようんば感じですね。みんな悲しんだというよりは、奇跡を感じた、という気配でしたから。第2文は「数千人」ではなく、「何千人もの人々が」という感じです。こちらもまとめてみてくださいね。
日本も昔は、仏教や神道が大きな役割を果たしていた国だったはずなんですけど、すっかり無宗教じみた国になってしまって(私もですが)、こういった宗教的な出来事が国や政治をまきこむのを、「へええ」と思いながら遠巻きに見てしまいますよね。良いのか悪いのかさっぱり分かりませんが、宗教って絶大なる力ですね。私の尊敬する教授達も、とても敬虔なキリスト教信者で、ときどき冷めた気持ちで、「この人たちは、どれくらい、本当にどれくらいのレベルでキリスト教を信じているのかなー」とぼんやり考えてしまいます。まさかアダムとイヴは信じてないだろうけど、「最後の晩餐」くらいはあったとか思ったりしてるのかなーなんて。
大学のこと、本当、奇妙な感じでしょうね。でも慣れてくると「S大学」もなんだかこう、新鮮な感じですね。これからもますます頑張ってくださいね!

A子さんの和訳訂正。

およそ2百万人の人々がローマ法王ヨハネ・パウロ二世の葬儀より先にローマの中央の集まると予測された。キリスト教の神聖な指導者である彼の84歳での死は4月2日に公表され、サンピエトロ広場に集まった巡礼者たちを感情の渦に巻き込んだ。ローマ法王の遺体は何千人もの人々がこれまでに敬意を払ってきたバチカンのサンピエトロ大聖堂に運ばれた。枢機郷は新法王選出を4月18日に開始すると発表した。

さらに私のメール。

全体的にかなり良いです。が、確かに「神聖な感情」と私も書きましたがそこはかなり微妙ですね。うーん。こういう表現って日本語にないですよねぇ。wellspring of emotions! クリスチャンの方だったら良い訳をご存知かもしれません。どなたかご存知ですか?
というわけで、訂正の和訳かなり良くて嬉しいです。普通にニュースを読んでいる気分になれますね。

ここでゼミ参加者の中のクリスチャンの方がメール下さいました。

Y期生のEです。武内さんの疑問、wellspring of emotionsの訳への回答をさせていただきます。僕自身はクリスチャンなのですが、いまいち良く分からなかったので、知り合いの神学者の方にメールで聞いてみたところ返事が返ってきたので、そのメールをここに載せます。以下の文が送られてきたメールです。これで疑問に答えられたのではないかと僕自身は思っています。
法王ヨハネ・パウロ2世の葬儀を前にして、ローマの中心部には約2百万人の人々が集まってくると期待されていた。
4月2日、84歳になるカトリック教会の霊的指導者の死去が報じられ、それにともない(unleashing)、サンピエトロ広場は巡礼者たちの感情が泉となってサンピエトロ広場からあふれています。
というのがこなれた訳でしょうね。感情を発しているのは、法王の死を一目見ようと集まってきた巡礼者たちです。それが泉となって、広場からあふれ出ているわけです。
聖なる感情とするのが、そもそもの誤解で、そういうことではなく、巡礼者たちの独特な感情と理解した方が良いと思います。 ほんと、あれだけ祈りと涙と希望の思いに満たされて、集まってくる人々を見ると、それが泉となっているのがよくわかる。 ちなみに、カトリックは、この泉という表現が好きです。マリヤの泉とか。それは、非常に聖書的な表現でもあり、恵みは、愛は、泉となってわき溢れるものだからです。汲んでも汲んでも、留まることを知らない泉。

それに対する私のメール。

ありがとうございました。wellspringは意外にも直訳に近い感じが一番ぴったりだったんですね。やはり内容を知っている人の和訳が一番ですね。大変参考になりました。

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