Sin City (2005), (D+)
いやぁ、私の好みではないことは最初っから分かっていたんですけどね。でもなんで観に行ったんでしょうか。マティネイ料金(5ドル)だったしいいか。でも皆さんの評価は高いみたいですよ。いいんです。私には芸術を理解するセンスみたいなものがないのでしょう。ブリトニーマーフィーの大根ぶりが際立ってました。ジェシカアルバは相変わらず超セクシー。映画の狙いでしょうけれど、女性が全くのセックスシンボルとしての存在意義しかなかったのがある意味すごかった。話の流れとしてはパルプフィクション、描写はキルビル(見てないけど)、という感じでしょう。タランティーノさん。邦題は未定とか。でも「シン・シティ」になるでしょう。「フランク・ミラーの」がつくかな。つかないか。さらに下に続きます。
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これを見ながらぼーっと何を考えたかというと、全く関係ないんですが、以前みた、「ショコラ(原題:chocolat)」という映画。いや、全く連想するようなタイプの映画ではないんですけど、ショコラの中には、絵の上手な少年が出てきます。彼は父親を亡くしたあとに、ありえないほど過保護な母親に全てをコントロールされていて、良い子なのですが、彼が描く絵は全てダークなんですよね。胸を剣で刺された死神の絵だったり、死んだ鳩の絵だったり。
それを見たジュリエットさん(役名忘れました)が、「ねえ、私のポートレイト描いてくれない?お支払いするから」と明るく誘って、それから彼は母親の過保護から抜け出しておばあちゃんのところに家出をして、ポートレイトを描くアルバイトを楽しく始めるわけです。
家出をして楽しそうにしている息子を母親は悲しく見守るのですが、だんだんと、過保護にしていた自分を反省して、禁止していた自転車(亡くなった父親が使っていて、しまいこんでいたので錆び付いていた)を出して来て磨き始めます。そして帰って来た息子に泣きながら、「自転車にも乗っていいから、お願いだからもう二度と家出なんかしないで」と言うのです。彼女は夫を亡くした悲しさのあまり、自分の息子だけは亡くせないと、ただそれだけで過保護になっていただけでした。
そしてこれは映画には描かれていませんが、その息子はもうダークな絵は描かなくなります。人々の表情だったり景色だったり、明るい絵だけではなくとも、昔のような地獄のような絵を描いたりすることはなくなるのです。
で、なにがこの”Sin City”に結びつくかというと、こういうダークな画面だったり描写だったりを思い描いたりするのって、もしかしたら少年や男性の本能だったりするのかもしれないし、残酷さとか残虐さとかそういうのって、なにか男の人を興奮させるものなのかもしれないけれど、ここまで、「表現」してしまうのって、なにか心に屈折したものでもあるのかな、と思ってしまいます。過保護にされた、とかそういうことを言いたいんじゃないけれど、「タブーを犯したい!」と思う気持ちって、やっぱり守られていたり平和すぎたりするような心に訪れるんじゃないかなーとぼんやり考えたわけです。
あー、こういう映画が、芸術的にしろ技術的にしろ何にしろ、評価を受けるのって何なんだろうなーと思ってしまいました。エンターテイメント目的とか言われてもそれってエンターテイメント?とも思うし。みんながワハハハと笑っていたギャグの部分ですらあんまり笑えませんでした。観に行かなきゃよかった。白黒にクッキリした赤とかが載せてあってお洒落な感じがしたのに。私って結局、芸術も分からない偽善者なのかもしれません。