eゼミ:Tysabri販売中止その後(BTW第02回)

このエントリーのコンセプトについては「はじめに」をお読みください。
今回のお題(Economist誌より):
Biogen Idec and Elan, two biotech companies, saw their share prices collapse (by 40% and 70% respectively) after withdrawing Tysabri, a drug that treats multiple sclerosis. Tysabri has been associated with two cases (including one death) of a rare and devastating disease of
the central nervous system.


B子さんからのメール。

武内さん、こんにちは。以前お会いしたX期生のB子です。先日は興味深いお話をありがとうございました。とても楽しいひとときを過ごさせていただきました。今回お忙しい中、武内さんに添削していただけることになりとても嬉しく思っております。1年間、H先生の外書講読を受講してましたがまだまだわからないことが多く、英語だけでなくその背景も勉強して行きますのでよろしくお願いします。
BTW
多発性硬化症の薬品を扱うTysabri社が撤退したあと、生物工学の会社であるBiogen Idec社とElan社はそれぞれ40%、70%株価が暴落した。Tysabri社は株価が暴落した2社に関心を抱いている。
two casesをBiogen Idec社とElan社の株価の暴落、と解釈したのですが自分でも納得がいかない解釈です。ご指南お願いします。

私のメール。

武内です。B子さん、こんにちは。先日はN(地名)まで来てくださってありがとうございます。ジャズ聴いてますか?
原文の前半はバッチリです。が、Tysabriを会社と思ってしまったところでちょっと混乱しましたね。Tysabriは薬品名です。
こういう辞書に載っていないような、知らない固有名詞が出て来てしまった、というようなときはどうやって調べるかというと、もうご存知でしょうけれど念のため復習として、ですが、まず、日本語版Googleにいきます(http://google.co.jp/)。そしてTysabriとタイプします。そして「日本語のページを検索」とあるところのラジオボタンをクリックして検索を開始(「Google 検索」を押す)します。すると、多少いろいろと日本語でTysabriのことが説明してあるページが出てきますね。その先をクリックしなくても、だいたい、Tysabriが抗体医薬であることは、その検索結果のページでつかめると思います。
ですから、その前につくwithdrawingはマーケットから商品を下げる、つまり「自主的な販売中止」と訳していいと思いますね。これをまとめると最初の一文は
「バイオテク企業のBiogen Idec社とElan社の2社は、多発性硬化症の治療薬であるTysabriを自主的に販売中止した後、株価がそれぞれ40%と70%暴落した。」
というような訳になると思います。もっとスッキリさせることはできるかもしれませんが。
そして2文目のtwo casesの”cases”というのは、「症例」あるいは「事例」です。食中毒などの件数を数える時などにもcasesを使います。ので、ここでは
「Tysabri(抗体医薬)は、過去2つの症例において、まれで深刻な中枢神経系の病気をひきおこしたとされている(そのうち1例は死亡例)。」
というような訳でどうでしょうか。このニュースの意味するところはつまり、この後この2社にはたくさんの(負け)訴訟が控えているだろうと、市場が読んだために、株価が暴落したというところですね。医薬品の訴訟はmass tort(大量被害不法行為)となるので、その手の弁護士の億単位の稼ぎ場です。
B子さんのブログ楽しみにしています。これからもどうぞよろしく。

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