セントヘレンズ山の噴火

20041001_ap.jpgワシントン州のローカルニュースは、セントヘレンズの噴火の話題でもちきりですが、私がアメリカに来てわりと驚いたことのひとつに、アメリカでは一般的に、こういった自然の驚異なパワーがとてもCoolなことだと思われているということがあります。
雷が鳴れば、親に反発してそうなティーンネイジャーの女の子でも、稲妻を指差しながら、”Look, that’s so cool!”と喜んでいたり、セントヘレンズのような火山の噴火も、まるでスポーツイベントのように家族で出かけて行って楽しんだり(今は避難令が出されているみたいです)、なにか決定的な部分が日本の人々と違うな、と思ってしまうのです。別にどちらが良くてどちらがダメというようなことではないんですが、根本的な違いを感じてしまうんですよね。猿の惑星じゃないですけど、ゴリラ、チンパンジー、オラウータンなどがそれぞれ違うように、このアメリカに良くいるアングロサクソン系と私たちのようなモンゴリアン系(そうなのか?)の人々は違うように感じるんです。大げさでしょうか。


この写真は、私がまだデジタルカメラを持っていなかった、1997年の夏に、私の姉とAさんと3人で行ったそのMt. St. Helensの写真(アルバムを引っ張りだしてスキャンしました)。1980年の大噴火で山の半分がなくなってしまっているのが分かると思います。そうだ、その時私たちはビジターセンターで1980年の大噴火のドキュメンタリーを見てとても感動したのを思い出しました。ドキュメンタリーの内容もとても素晴らしくて心に残るものだったんですけれど、とにかく最後が良かった。ドキュメンタリーの最後に画面は噴火直後の火口がアップからどんどん引いて行って、山の全体像が見えるようになっていて、そのスペクタキュラーな映像にシンプルに感動したんですが、それだけではなく、映像も終わっていないのに、急にスクリーンの向こう側の壁だと思っていた大きな窓にかかっていたカーテンが上に巻き上げられ、観客がなんだなんだ?とざわざわしていると、その画面のセントヘレンズのアングルと全く同じアングルの本物のセントヘレンズ山が窓越しに完璧に見えて、言葉を失ってしまいました。
今回の噴火はあの1980年の噴火ほど大きくはないようですが(Aさんの火山学の先生は、バープだ、つまりゲップみたいなもんだ、と言っていたらしいです)、でも毎日なんらかの変化があってわくわくします。写真は今月2日にあった、その「ゲップ」な噴火。ところで、そのAさんの先生は、この噴火に関して、「テクノロジーは本当に偉大だ」と言っているそうです。どんなすごいテクノロジーだろう?と思って興味を持ったんですが、それはなんてことはない、「インターネット」のテクノロジー。よく聞いてみると、1980年当時、火山学専攻の大学院生だったその先生は、このセントヘレンズ山の噴火に大興奮したらしいんですね。でも、プレスカンファレンスでは一般的な噴火の内容しか教えてくれないし、ラジオで実況をきいたり、先生にいろいろと状況を口頭できいたりすることしかできない。データも政府が持っていて、なかなかアクセスしづらい。
でもこの2004年は、インターネットのおかげでWeb Camもあるしデータも細かいガスの変動から震動のデータ(リンク先のページ下方にあるSt. Helensの日付リンクをクリックしてみてください)、温度、湿度、なにもかもが1分刻みでオンラインで手に入るのです。実際に現場に行かなくても、現場のデータを集める人と役割分担で、その分析を遠くでどんどん行うことができるわけです。1980年当時はデータを手に入れるために4年も待ったそうですよ(論文を)。今はリアルタイムでどんどん情報を手に入れることができますよね。インターネットっていろんな人にいろんな意味で役立っていると思うんですけど、こういった研究のエイドとしての価値はかなり高いんだろうな、と思ったエピソードでした。

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