論文投稿のプロセス

私のポスドクの仕事にはいろいろな種類のプロジェクトがあるのですが、基本的に一番メインとなるものは、今までやってきたプロジェクトの結果について論文を書き、それを学術誌に投稿するという仕事です。このポスドクの仕事を始めてから連続してずっといろいろと投稿しているんですが、先々週くらいにひとつ投稿したものを例に出すと、その論文には共著者と言われる人が私も含めて5人いて、ひとりはワシントン州オリンピア、ひとりはアイダホ州に離れて住んでいるため、Eメールで論文をそれぞれの著者に送り合ってアドバイスをもらったり、校正したりするんですね。そのプロセスにすごく時間がかかるのですが、またさらに投稿する学術誌によってフォーマットや単語数制限が違うし、論文のフォーカスすら変えていかなければいけないのでわりと細々とした作業が必要です。


そしてシグニチャ。サインですね。私たちは、人間が相手の研究なので、こういうサインの必要なフォームがいっぱいあるんです。動物実験や化学実験と違っていろいろと責任を取らなければいけないのが多いらしいです。でもどんな研究でもコピーライトのフォームは必要でしょう。ですからどんな研究でも1部以上はサインのあるフォームが必要なんじゃないでしょうか。こんな感じで私もいろいろ必要な書類をつくって、著者全員がサインをするわけですが、最近はファックスやメールなどのサインも受け付けてもらえるものの、やはり本物のサインが一番簡単だということでFedExやUSPSのPriority Mailなどが活躍するわけです。
私はFedExもUSPSもどちらもレジストレーションをしているので実はすごく便利です。オンラインでFedEdにピックアップにきて!と頼むと普通に学部に配達のお兄さんが来て書類を持っていってくれます。しかもプロジェクトのファンドから支払うことができてお財布も痛みません。USPSも、最近はClick ‘N Shipというサービスを始めていて、オンラインでカード決済してバーコード付き送付箋をジャバでプリントアウトできるんですね。それを学部にあるプライオリティーメールの厚紙封筒に貼付ければ郵便局に行く必要がありません。インターネットって死ぬほど便利だ。インターネットなしには面倒くさがりの私の仕事は今の倍以上時間がかかると思われます。
そして実際の論文(マニュスクリプトといいますね)を投稿するとき、あまり昔でもない以前は3部とか5部とかコピーして実際に郵送していたんですが、最近はいろんな学術誌がオンライン投稿を受け付けていて、かなり便利になりました。単純にEメイルに添付して投稿できる学術誌もありますが、その方法だと投稿する著者側は楽チンですが、受け取る側はさぞかし大変だろうなーと思ってしまいます。でもこっちが楽チンなのはいいことですね。
もっとソフィスティケイティッドなシステムを利用している学術誌には、ちゃんとしたEditorial Managerと呼ばれるオンラインのシステムがあったりして、これは多分、Reviewする側や受け付ける側にはすっごく楽なシステムだろうな、と思われるんですが、投稿する側は結構大変です。
私が今週せっせと投稿準備をしている学術誌がこの方式を使っていて、ログインすると、「論文のタイトルをここへ」というページが現れ、私はワード書類からせっせとコピー&ペーストするわけです。そして次のページで、「著者の名前」というのを入れるんですが、ここはコピー&ペーストがきかないんです。というのも、データベースにしているらしく、First Name、Middle Name Initial、Last Name、Position、Degree、Affiliation、E-mail、などなど個別に入力しなければならないのです。今投稿している論文には私をいれて4人の著者がいるのでそれぞれせっせとちょこちょことひとりずつコピー&ペーストしてます。あああ、面倒くさい。
論文にはテーブル(表)とかフィギュア(図)があるのが普通ですが、それもまた別の書類にして、それぞれの学術誌の”Instruction for Author”というような情報を見ながらちゃんとフォーマットします。このフォーマットの方式が、それぞれの学術誌で全然違ったりするのでホント涙がでるんですよ。もちろん、リファレンスもそれぞれの学術誌でフォーマットが違ったりします。番号をつけろ、とか著者の名前をカッコに入れて、だとか、ホントにいろいろ。いつか誰かが全部を統一してくれないかしら、といつも思います。
そして前出のシグニチャの必要なフォームは、実際に物理的に郵送する必要があるわけですね。ですから便利にオンライン投稿ができるようになったとはいえ、やっぱり1度は郵送しなければいけないわけです。しかも、これは実際に学術誌に載るまでに1年くらいかかったりするプロセスなんです。まず、エディターの人が実際に受領するかどうかを決断し、Peer Reviewといわれるリビュープロセスにかかり、そこでアクセプトされるかリジェクトされるか決まります。でもたとえアクセプトされたとしても、「ここを書き直して」とか「こういう説明が足りない」とか「既出の論文と比較して」とかさまざまな注文をつけられます。しかも、さまざまな注文やアドバイスをいただいたあと、やっぱりリジェクト、となることだってあるんですよ。気が遠くなります。
とまあ、今日は真面目な話でしたが、私の仕事の一部、というかメインになる部分を紹介してみました。今やっているのを含め、今年中にあと3つ投稿しなければいけません(論文は書き終えました)。がんばりまーす。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *