Hero

20040829_hero.jpgHero (2004), (!)
日本では数年前に「英雄/HERO」として公開されてましたが、アメリカでも字幕公開(しかも全米)されていたのでへぇと思って見に行きました。ABC評価できませんね。これは。なんか、映画とかショウビズとかじゃなくて、美術館で絵画を観る感覚でした。マテリアルアートは私は、どんなにウソっぽくてもワイヤーで吊ってあっても、その必死な本気な感じが好きなのでわりと全体的に肯定的なんですが、この映画は、私が多分持っている、中国にたいするかなり原始的な憧れのようなものをガンガン見せつけられた気がして圧倒されました。敦煌とか山水とか、ストーリーに関係なく中国にしかないんだろうなーと思わせる「美」という感じ。そして、ああ、中国の人こういうのすごく好きだよねぇと思ってしまう原色とひらひらの布。さらに下に続きます。
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しかも、よくある理想の物語なのかと思いきや、本気で現実と理想のギャップをそのままにしてあって、そうよね、キレイごと言ってる場合じゃないしね、と思ったり、だからといって理想をすててしまうわけにもいかないしねぇと本気になって考え込んでしまう感じ。そしてあの剣という字にまつわる話ですが、英語字幕じゃ、アメリカ人はあれは理解不能だったんじゃないかなんておせっかいな心配をしてしまいました。立ち上がって、「これはね!」と説明したい気分。そんなことしませんが。でも、アルファベット使っている人に書道とかってわかるものなんでしょうかねぇ、どうなんでしょうね。コアの部分が分かってもらえなさそうですよね。そういってる私だって分かってるかどうかは謎ですけどね。
私は芸術的な映画は今まであんまり好みではなく、気分がスカーっとしたり、わくわくしたり、大笑いしたり、そういう商業的な映画が好きだったんですけど、これはなんだかじわじわきていいですね。途中まで、ん?という気分で観てましたが、赤、青、緑、白ときて青の終わりくらいから、なんとなく気持ちが入ってきました。共感とかそういうのではなくて、ヘンなたとえですが、平面に描いてある3D画像がじわっと見えてくる瞬間ってあるでしょう?でもくっきりまでいかない、なんとなく中途半端だけど、「あ、見えてきた!」という気分。でも見えない。
もういちど観たいなーと素直に思いました。それにしても、ジェットリーって中国語だと声が高いのね。そしてあの、刀を鞘に納めてからいろいろ崩れる感じって、五右衛門じゃないの?ルパンの。

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