健康食品について

今日オリンピックの日本選手の結果を見たいと思って朝日新聞を見ていたら、「アガリクス、アロエは健康によい? データを公開」という記事があったので私なりに考察してみることにしました。
まず私たち健康や栄養、食品などの分野に携わる者としての第一の指摘としては、「健康食品」とか「健康に良い食べ物」って何よ?と思います。よく、「ねぇ、オレンジジュースって健康にいいの?」とか聞かれたりするとクゥゥゥゥ、となりますね。どういう観点から聞いてるの?とこっちが質問しなおす結果になります。じゃあ一体何が健康に悪いか、と言われても、食品に限って言えばかなり難しいですね。脂肪分は健康に悪いか?と聞かれても、「全く摂らないと健康に悪いよ」とか「摂りすぎると健康に悪いよ」とかそういう答えになるでしょう。3食オレンジジュースだけで過ごしたら健康に悪いでしょうし。あ、タバコは食品ではありませんが、あれは明らかに健康に悪いです。煙を吸ってるんですからね。車の排気口に口をつけて肺まで吸ったりするのとほぼ同じ行為です。しかも科学的に立派に立証された、いわゆる「発ガン物質」ですから。


で、「健康に良い」かどうかに関しては、にがり、アロエ、アガリクス、などなどにしても同じことが言えると思います。ただ、私がかなり眉間にしわをよせて嫌がってしまうのが、そういった「健康食品」を利用したビジネスがバカみたいに儲けていること(なんた市場は1兆3000億円規模らしいですよ)。そしてそれにすっかり踊らされてしまっている人が、信じ込んで逆に身体を壊したりする事。
だからいつも思うのは、定義をはっきりしましょうよ、と思います。もちろん、今厚生労働省から特定保健用食品(特保)として認可される食品には定義があります。

その食品中の成分が、科学的試験結果(動物およびヒトなど)に基づいて健康に有用な機能性(生理学的機能や生物学的活動)があると厚生労働省が認め、食品に健康への効用を示す表現を付けることを許可した食品

でもこれを知っている人が日本にどれだけいることか。そしてこれをさらっと読んでなるほど、と思う人がどれだけいることか。私は3回読み返して、はあ、となりました。でもこの制度すごいんですよ。どうすごいかというと、「世界初」なんです。日本以外のどの国も政府がお墨付きを出していないんです。だって!!!だってまだ分からないことばかりじゃないですか!日本はすごいなーと言われています。それだけ科学が進歩している国なのか!とジョークを言われたりもします。でも世界最高長寿国(平均が)ですからね、結構イバってられるわけです。そして他にあるのが栄養機能食品。一定のビタミンやミネラルを含んだ食品は、ガイドラインに従って、このラベルを貼ることができます。あとの「健康食品」と一般にいわれるものは、普通の食品。健康に関する効能など書いてはいけないことになっています。
でも、ちょっと横道に外れますが、この「特保」はかなり細かい実験結果を厚生労働省に提出しなければいけなくて、億単位の研究費がかかるというのが普通らしいんですね。でも、そこまでしてこの特保をとりたい、というのはつまり日本全国健康ブームには、それだけのビジネス価値があると確実に思われているということです。ですから、真剣に研究をやっている企業もたくさんあると思います。それをふまえた上で、私が「ちゃんと定義してほしい」といっているのは、いわゆる、「補足説明」の部分。たとえば、「あくまでも、食生活における栄養素補填の目的でご利用ください」とか「治療薬ではありません」とか「摂り過ぎ(数値つき)にご注意ください」とか、もうそういうのはすでについているのかしら。
話を元にもどして、「健康に良い」ということの定義をハッキリさせたら、自然と、こういったいわゆる「健康食品」の有効的な利用の仕方もクッキリとしてくるのではないかしら、と思います。今までも何度も書いてますが、「健康に良い」食品というのはないのです。「健康に悪い」食品もない。腐っているものとかウィルスが入っているとかそういうのは別ですよ(それはもはや食品だと思いたくない)。つまりあるのは、健康に良い、あるいは悪い「食べ方」だけですね。いつ、どんな頻度で、どれくらい食べるのか、ということで健康に良いか悪いかがハッキリします。
ビフィズス菌だって、確かにあまり悪い部分はありませんが、毎日ビフィズス菌だけ食べていても意味はないのです。食物繊維やオリゴ糖など、ちゃんとビフィズス菌の活躍できる状況を作ってあげなければいけません。そしてビタミンBなどを多少つくりだすものの、決して人間にとって十分なビタミンBを全部つくるわけではありません。Bといってもナイアシン、サイアミン、リボフラビン、B6、B12などいろいろありますからね。じゃあどうすればいいか。それは「一日30品目」です。これってとっても難しいけれど、実行すればかなり有効な栄養健康管理の方法だと思います。そして、自分の栄養状態を専門家に評価してもらい、自分がどんな栄養素が不足がちかを調べます。たとえば牛乳が苦手な人は慢性的にカルシウム不足かもしれません。
女性には鉄不足の人がわりといます。でも鉄分を意外にたくさん食べている人が、鉄不足が怖いからといって鉄分のサプリメントなどを利用すると、鉄の摂り過ぎはわりと怖いんです。だから、一日30品目を目標に、そして自分が何が不足がちかを正確に把握し、そこで初めてサプリメントや「健康食品」を利用する、というのが賢いやり方だと思います。こういったサプリメントや健康食品は実はにんじんを1/5本食べるのと同じだった、という結果もありますからね。かたや1粒200円、かたや1本40円(つまり一粒分で8円)の違いですから、お金持ちの方はそんなの気にしなくていいでしょうけれど私のような一般人はやっぱり普通の食品で同じ効果を得られるほうを選びたいなーと思います。

3 Replies to “健康食品について”

  1. ううう〜ん、そうですね。とてもうなってしまいます。私は「いわゆる健康食品」を家族中で信じ込んでしまうタイプなので確かに健康食品市場に貢献してしまっているな…と感じました。きっとそういうのに入れ込んでしまう人って、免疫系の疾患を経験している人が多いんじゃないかな、と思います。普通に薬を飲めば治る病気ではなく、体質的に生まれつき虚弱体質な人とか普通に「健康的な生活」と思われてる生活では不調なひと。薬以外の何かに頼ろうと知った結果で高級だったり理解されにくいプラスアルファにお金と時間をかけてしまうんじゃないかと思いました。でも、きっとこれって微妙なお話?私もしかしてすごく反感かうこと言ってたらごめんなさい。

  2. えみちゃん:きっとそういう人はお金かけて治るなら、と思って必死になってしまうんでしょうね。でも今日本は普通の人、疲れやすいサラリーマン、ストレスの多いOLさんなんかもそういう市場のターゲットらしいよ。そういうのがビジネスくさくてイヤだよねぇ。でも、まあ本人がお金を持ってて、そういうのを買って安心したいんだからいいか、とも思います。そしてプラシボ効果って知ってるよね?その効果をみすみす無くしたくないから、アドバイスする側としても、どこまで真実を説明するかは難しいところ。お金をかけて「これが私に効くはず」と思って頑張って続けているだけで治る病気もたくさんあるらしいです。結局人間って身体のことは心で治ったりするのねぇといつも驚かされます。ところで「免疫系の疾患」って具体的に何の事?カゼをはじめとして、どんな疾患も一応免疫の壁をこえて病気にさせてるわけだけど…。

  3. 「免疫系の疾患」…自分でかいたのに考え込んじゃった。こないだ本(免疫革命、たしか)で読んだんだよね、で、「やっぱり免疫系の病気は長期戦でしぶといなー」と思ったんだけどなんだっけな、アトピー以外が思い出せない。あとはガンもかな。でもホントに病は気からが基本だよね。

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