教育はデザインだ

今朝はちょっとだけ早起きをして朝のセッション(といっても8時なのでそんなに早くもないのですが)の、”Thinking like a Designer”というのに参加してきました。これはどんな分野でも同じだと思うのですが大学などの組織に属していると、かならず社会へ還元する何かの必要性があったり、子供達や一般消費者にうったえなければならない何かが出てきたりするので、そういったメッセージをどうやって伝えるか、どうやってコミュニケートするか、というような教育セッションでした。
私は基本的には教育デザインとか、クレディブルな(信憑性のある)情報の発信とかいった分野に興味があり、いろいろとリサーチをしたことも多いのですが、そのまとめ、というような感じのトークが2こ続き、とても興味深く思いましたのでちょっとしたことをまとめておきたいと思います。


まずは面白いものから書いていきますが、情報を伝えるには新聞、雑誌、ウェブなどいろいろとありますが、「見た目」という完全にテクニカルな意味での教育マテリアルに最大の効果を持たせるには:
1. SHAPE
2. LINE
3. TYPOGRAPHY
という3つの要素が欠かせないといいます。まずは媒体がなんであれ、普通の白い紙を用意して、1の「形」というのを決めていきます。もし写真を何枚使う、というのが決まっていればそのレイアウトから入ってもいいし、ロゴをどこにいれる、とか全体の形をLの形にして右上に大きく写真をいれる、などいろいろな「形」としての要素を考えていくのが大事だそうです。これって実は意外に難しいですよね。単にデザインだけの勉強をしているなら、もうすでにコンテンツがあり、文章がこれくらい、ヘッドラインがこれくらい、写真がこれだけ、イラストがこれだけ、などなどが決まっていてあとは配置と色と、そういうのを決めていくような感じになると思うんですが、実際こういった教育マテリアルを作っているときって、私の場合も含めて、内容がまだ固まっていないことがほとんどなんですよね。それでもビジュアルから見せていかないとミーティングなどではピンと来ない人も多いのでバランスが大事になってくるんです。そして、見た目さえ良ければいい、ということではなく人間工学というか何と言うか、ぱっと見るときに、どこに一番アテンションが欲しいか、とかもちろん全部読んで欲しいのはやまやまであっても、10秒しか観てもらえない場合はどこに10秒ひきつけたいか、などそういうことが大事になってきますよね。そういう意味で全体の「形」を決めるのはすごく大事みたいです。
そして2番目のライン。ラインというのは何か段落を分けたり、囲ったり、下線をつけたり、いろいろな役目があると思うのですが、頻繁に使うのは考えもの。今日のスピーカーのアドバイスとしては、同じ色で太さだけ変えるなどして効果的に使うといいらしいです。商品パッケージなど、とにかく見た目がオシャレになればいい、というようなものではないのでラインの使い方は非常に大事みたいですね。英語の場合、いくつかの小文字(たとえばgとかqとかfとか)は下線を引いてしまうと交差してしまうので、どういうふうな位置関係で下線をひくかなどはかなり気をつけなければいけないポイントだそうです。スピーカーの人はドットの下線が好きで、そういうときは良くドットにして使うらしい。でもまぁ、そのあたりは好きずきですね。
そして最後に大事なのがタイポグラフィ、つまりフォントの選び方ですね。ひとつのマテリアルにフォントは2種類、というのが教育マテリアルの基本らしいです。もちろん、ちょっとしたヘディングにデコレーションの意味で違うフォントを使ったりするのはアリらしいですけれど。しかも面白いことに、手に取って「読む」タイプのマテリアルの「読み物」部分はSerif系のフォント、たとえばTimes New RomanとかMacだとPlatinoなどちょっとオールドファッションドなフォントがやっぱり良いみたいですね。ウェブでは空間を多めにして(行間など)Sans Serif系、つまりHelveticaとかそういうのを使うほうがいいらしいです。カワイイフォントやおしゃれなもの、Script系などは普通の商品デザインなどではどんどん取り入れるといいらしいですが、教育に関しては、前出のいわゆるクレディビリティ(信憑性、信頼性)を失う可能性があるので、至って真面目にやるのが王道だそうです。もちろん、どんな人をターゲットにして教育をやりたいかにもよるだろうし、子供相手だったらかわいいデコレイティブなフォントで興味を引くことがかなり大事になってくるようですが。
たった2時間のセッションではカバーするのがさぞかし大変だっただろうと思うほど盛りだくさんの内容でした。ハンズオン的なワークショップもあったし、楽しかったです。
別のスピーカーは今度は、実際どういうことに気を使って「学校外」とコミュニケートしていくべきかのトークをしていました。これは面白い、というわけではなかったのですがこれからメディキャンペーンをやろうと思っている私にとってはものすごくタメになりました。情報を外に出していくには8つのステップがあるそうです。
1. Cultivate Media
地域的、全国的、などターゲットをしぼってメディアのリストを作ります。とにかく考えうる限りのメディア、紙だろうがウェブだろうがラジオだろうがテレビだろうが何でも。そして情報を出したいと思えるメディアタイプを選んで、1つか2つの重要なコンタクトを作ります。これは一度きりのことではなく、長年のつきあいになる、という意味でのコンタクト。ストラクチャーをエクセルなどで作っておくことも大事。
2. Monitor the Media
選んだメディアだけではなくメディア全体で、何が今一番の、そのメディアを観ている人の興味か、メディアはその件をどんなアングルやスタイルでとらえているか、などなどをモニターしていきます。「これは良い!」と思った記事などにはE-Mailなどで感想を伝えておくとこれからに役立つこともあるとか。
3. Be Reliable
一番重要なのは実はメディアではなく自分、自分が出す情報であるということは忘れず、つまりホームワークをしっかりやっておきましょうということ。出したい情報に関する質問にはすぐにでも答えられるようにしいておかなきゃいけないということです。一番大事でありかつ難しく、大変で、価値のあること。
4. Recognize Schedules
メディアで働く人々はとにかく忙しい人々だということを忘れずに、お互い尊敬しあい、スケジュールを気にし合いましょう、ということ。
5. Define Exclusive Topics
ストーリーになる!と思ったらメディアの側からやってきます。今のトレンド、どんなトピックが人々をキャッチするかなどに気を使って自分の出したい情報とリンキングしていくことが大事。
6. Develop Techniques
これは書く力であったり前出のデザイン能力であったり、いろいろなテクニック。ウェブの作り方や基本的なコンピュータースキルも大事。
7. Track Progresses
コンタクトしたっきりなにも情報がまとまらない、とか出した情報に質問がきても答えられない、フォローアップがない、となってくるとメディアでのあなたのクレディビリティは確実に下がる、ということ。プログレスをよくみておきましょうということ。また情報のUp-To-Dateも必要。
8. Expand your Media Base
ここで1に戻るわけですが、さらにコンタクトを着実に増やすことも大事。むやみやたらと増やすのは逆効果ですが人間関係をつくっていくように、メディアとの関係も育てる感覚でやりましょう、ということでした。
というわけで秋にやる予定の私のメディアキャンペーンに役立ちそうで嬉しかった。これだけでもソルトレイクシティに来て良かったと思えました。学会はぼーっといろいろ行ってみるだけでも驚くほど人と知り合うし、こうして思っても見なかった情報を得たり、かなり勉強になりますね。8月はどうしようかと悩んでいたけどやっぱり行こうかなぁ。

3 Replies to “教育はデザインだ”

  1. んん!わたし、おととい、仕事で思いついたことがあって、「SORTING ICONS」と名づけてみたのだけど、細かいことを説明すると長くなるので、短縮説明するね。メキシコ人の人たちに私たちのほしいものを伝えたくて、彼らも、一瞬で洋服をそうかそうでないかで判断しないといけないの。それで、10とか20ものアイテムの特徴を覚えないといけなくて、それを一瞬で判断って大変だし、絶対モレが出てくるの。うっかり忘れちゃうじゃんね。んで、そのモレを少しでも減らしたくて、そのアイテムの特徴を道路標識みたいにわかりやすく絵とかで示して、仕分けブースに設置したら、言葉じゃなくて形なので一瞬で判断できて、モレを少なくできるんじゃないか!って。そしたら!みみつんが「教育はデザインだ」って!めんどうだからやっぱやめようかなーって思ってたけど、なんだかやる気がわいてきたよ!デザイン次第でうまくいくような気がしてきた!ひろみがんばって作ってみる!それだけ!

  2. ひろみ:いいアイディアじゃない?交通標識とかでカワイイのとかあるよね。そういう感じなんでしょ?できたら是非みせてねー。なんかひろみっぽいものができてかわいくて笑えそう!
    shinyaさん:マサチューセッツ大学のグラフィックデザイナーさんでしたよ。ウェブにも載っていると思うけれど今度メールでお知らせしますねー。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *