The Cider House Rules (1999), (A-)
たまに、ほとんどまるで偽善者のように、ああ、私って本当にラッキーで幸せで贅沢なんだな、と思わされることがあります。私は身近な人の不幸に接したことはまるでないし(祖父は数年前に亡くなりましたがあくまで年齢ということなのでどちらかというと幸せという感じ)、両親のおかげで、お腹がすいて苦しい思いをしたことはないし(満腹で苦しい思いならしたことが何度もある)、本当に、私生きてていいの?レベルの贅沢もんだなーと、突然めちゃめちゃに反省したりするのです。
この映画も私は結局、そういう結論に至りました。共感するだなんてとんでもない、感動ともちがう、なにか重々しく鈍い痛みのような感じ。こんな贅沢モノの私がこんなことを感じるなんて、チープな感じがするだろうってことは本当に分かっているんですが、それでも私はこうして時々映画でもなんでも、ふとハっとさせられることに感謝しようと思っているのです。邦題は「サイダーハウス・ルール」。自己満足的感想はさらに下につづきます。
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ラーチ先生が、我が子のように思っていたホーマーに心臓のことを教えたことは、もちろん戦争にいくことを避けたのもありますが、精神的に彼をどんな場面でも落ち着かせていてそれが彼の成長にどれだけの影響を与えたかを考えると、先生は本当にホーマーのことを特別に思っていたんだなぁと心を打たれます。
私はシャーリーズさんが好きですけど、この映画ではどちらかというとちょっと邪魔ですね。原作に出てくるから仕方ないんですけどね。アメリカにもいっぱいああいう施設はあります。日本にももちろんあります。アダプターである家族がくるときに、小さな子供がけなげに髪の毛を整えたり微笑んでみせたりする姿は、きっと本当の姿なんだろうなぁと思います。
舞台のメイン州はアメリカでもアラスカをのぞいて一番北にある州。映画のほとんどがりんごの季節なのでその美しさが時々ストーリーの残酷さを際立たせていて、キレイなものは痛いときがあるな、と思わされました。ところでタイトルにも含まれているCiderですが、映画中でもほとんどのひとがサイダーと発音します。でも、これはワシントン州とかノースウェストだけなのかしら、私のまわりのほとんどのひとはシダーと発音しますね。まぁどっちでもいいんでしょうけどね。日本風だとサイダーですね。発泡リンゴジュース(酒?)。お鍋にいれて熱してシナモンや赤ワインなどいれるとおいしくて冬には体があったまる、私の好みの飲み物です。