カンファレンス

昨日もカンファレンスのお仕事いってきました。6時半に家を出て、帰ってきたのは4時くらいだったかな。このカンファレンスのスピーカーの方は、はるばるDCとかから来ている方もいらっしゃってびっくりなんですけれど、なんと一番遠いのはウェールズからのゲストスピーカー。私も幸運なこに、お友達にならせていただいたんですが、University of Wales Instituteというところのプロフェッサーのクリスグリフィス先生。かなり有名な先生らしいです。その先生の話で興味深かったのが、私のやっている食品安全の話でのリポーティングシステムの話。リポーティングシステムって日本語だと何て訳したらいいのかちょっと悩みますが、つまり、食中毒などがおこったときにそれをデータベースにのせるために、報告(?)することになっていて、病院などで「O157の食中毒」などという診断が下された場合、しかるべきところ(保健所など)に報告しなければいけないんですね。それで、日本政府として最終的に、今年の食中毒の数、などというデータを発表できるというわけ。

このリポーティングシステムというのはわりとクセもので、今の話を読んだだけで何となくピンとくる方もいるんじゃないかと思いますが、たとえばサルモネラ(とり肉やたまごの殻などについている場合が多いですね)。あのですね、こわい名前ですけれど、健康な大人の人がこの菌をうっかり食べてしまったとしても、意外に全然大丈夫だったりするんです。まぁ、量にもよりますが、まあ症状も出ることもあるでしょう。が、その症状というのが!
悪寒…..カゼかな
発熱…..とうとうカゼだ
下痢…..酒のみすぎたかな
吐き気…いよいよ酒だな
とかいう一般的なものであって、わりと「食中毒だ!」と確信しないことが多いんですね。しかもこの全ての症状が出るとは限らないし。で、病院にまではいくことはない、と思ったりもします。すると、もう誰も報告はしないことになりますよね。だから日本にかぎらず、報告された食中毒の数というのはすっっっっごく少ない、ということが分かると思います。しかもね、病院ですら、「食中毒だ」と疑うことはあっても、しっかりそれを言うこともないですね。多分。だって食中毒と断定するにはいろんな証拠がひつようだし、「何を食べたか」だけではかなり難しいです。肉、魚などを食べていればどれでも食中毒のモトになりうるし。で、こういった実際の数よりも報告の数が少ないことを、アンダーリポーティングといいます。

クリスがしたおもしろいジョークは、エジプトの話。エジプトは食中毒の少ない国だということで有名です。1年に2000件以下だとか。すばらしいですね。でも、エジプトに旅行した人の80%がなんらかのお腹の病気を持って帰ってくるというデータもあり、クリスがいうには、これはピュアな偶然でしょう、ということ。あはは。会場は爆笑してました。そうなんです、つまり、エジプトはそのリポーティングシステムが全然確立しておらず、全体的に数を把握できてないんですね。だから、たったの2000件しか報告がない。ホントはもっともっともっともっとあるはず。

で、アメリカやイギリスはそのリポーティングシステムの超先進国です。で、食中毒の件数もすっっっごく多いんです。こんなに力をいれて、食中毒を少なくしようと頑張っているのに、どうして件数が増えているか。それは、力をいれているから、なんですね。皮肉ですが分かる話です。”If you don’t look, you don’t find.”というのがありますが、まさにそのとおり。日本も年々食中毒は増えてます。食の安全に力を入れれば入れるほど、その件数は増えるんですね。
それにしてもクリスは完全なブリティッシュアクセントの英語でステキでした

Campylobacterという菌があるんですが、日本語だとカンピロバクターといい、米語だと、キャンピロバクラーというのが近いんですが、クリスはこれを「カンパイロバクター」といっていて、「カン」のところはノドの奥でその「カ」という音を歯切れ良く言う感じ、アクセントは「パイロ」のところで微妙に音程が上がり、最後の「ター」も下が上の歯の裏を歯切れ良くたたき発音する感じ。やってみてください。超ブリティッシュ。

そして、今はイギリス人のフランス嫌いがはやってますが、そのカンピロバクターが一番多い国はどこ?というはなしになって(答えはニュージーランド)、だれかが、カンで「フランス?」と答えたら、「いやぁ、そうだ!とそれには言いたいとこだけど違います」って言っていて会場の笑いをさそってました。ほんとにフレンチ嫌いあるんですねぇ。まぁジョークですけどね。

あ、そうだ、昨日書いたブリーチの話ですが、Valの話で、5.25%のクロラックスブリーチにはEPA番号の5813-1というのがついているそうです。だからサニタイザーと言えます。でも、その5.25%のブリーチはほとんどどこにも売ってないらしい。唯一買えるのはコスコらしいですよ。コスコはレストランなんかの仕入れに使われるところですからね。だからきっとそういう業務用のようなものがあるんでしょう。

ところで、Escherichia coliとかSalmonellaとかは、普通一般に文献やリポートなどで使うときはイタリック(斜体)にしなければいけないんですが、ワードなどで、オートコレクト機能みたいなマクロで、その単語をタイプすると勝手にイタリックにする、というようなマクロを設定しようとしてみてるんですけど、どうもうまくいかないんですよね。どなたかやり方知っている方いたら教えてください。で、昨日の夜はカンファレンスのあと、6時から前にも書いたように、うちの学部長のお家におよばれして食事でした。楽しかった。また詳しくは今度書こうと思います。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *