麦芽ホップがO157を中和

朝日新聞からの記事なのですが、麦芽ホップがO157の毒素を中和するらしいというニュースです。O157はアメリカでは通俗的にE. coli(イー・コライ)と呼ばれますがそれはエスチェリチア・コライ(Escherichia coli)の訳であって、その種の中にもさらにいろいろな種類があり、腸管出血性であるこのO157というストレインは総称はE. coli O157:H7です。このストレインは増殖後にVerotoxinという毒素を出すことで有名ですが、ここで重要なのはこの野田先生の発見は、この「毒素」を中和するということ。タイトルにもあるようにビールをのんでも無駄ということですが、まぁこれはその特殊なポリフェノールがない、という意味でもあるでしょうけれど、毒素が出てからの中和、という意味ですので、O157を殺すかどうかとなるとそうではないのです。O157が腸管にて出すベロ毒素を中和するのです。


本文引用しておきます。

ホップにO157中和の効果 ビール飲んでも効き目なし
 ビール原料のホップから抽出されるポリフェノールに、病原性大腸菌O(オー)157の毒性を中和する働きがあることを、千葉大医学研究院の野田公俊教授(病原分子制御学)とアサヒビール(本社・東京都中央区、池田弘一社長)の研究チームが突き止めた。4月に熊本市で開かれる日本細菌学会総会のシンポジウムで発表される。
 野田教授は、百数十種類のサンプルの中からO157が放出するベロ毒素の毒性を消す効果があるものを探し、ホップの働きが強いことを約3年前に発見した。
 アサヒビールと共同で研究を続け、ホップのポリフェノールがベロ毒素と結合することでその分子構造を変え、細胞を破壊させる働きを防ぐことを突き止めた。効果はウサギを使った実験でも確認されている。副作用は現在のところ、発見されていない。
 ポリフェノールはホップの葉の部分に含まれており、ビールを造る時には葉は使わないため、ビールを飲んでも効果はないという。緑茶などに含まれる一般的なポリフェノールとは違うホップのポリフェノール特有の効果という。
 野田教授は「中世に雑菌を抑えるためにホップを使ったという話を聞き、候補に選んだのがよかった。抗生物質と併用して使うことが考えられる」と述べた。
 大阪大微生物病研究所所長の本田武司教授(細菌学)は「ベロ毒素を中和する効果があれば、ホップに副作用の問題があるとは思えず、治療薬として期待できるのではないか」と話している。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *