賞味期限表示

今日の朝日新聞に載っていたんですが、下の方に記事は引用しておきます。賞味期限ってすごいなぁと思いません?その日を境に、食品が安全だとは保証できなくなるってことです。これはあたしはいつもすごいなぁと思うことであり、何人かの友達には熱く語ったことすらありますが、私がこの「賞味期限」をすごいなぁと思いはじめたのは、微生物学を勉強してからなんです。
微生物学を勉強すると、地球上のほとんどのものに微生物がいるということを知ります。空気に、水に、人に、植物に、動物に。そして潔癖になるようではいけません。微生物学を学ぶと、逆に平気になります。なぜなら、どんなにキレイにしたとおもってもキレイになりきれるわけないからです。ただ、気をつけるようにはなりますね。やっぱりペットには微生物を1000倍の顕微鏡で見続けた私でさえもぎょっとするほどの量がいます。いま何気なく「量」と書きましたが、これがキーワードだったりします。
つまり、微生物にはカビなども含めて毒性のあるものないものありますね。でも大腸菌なんてほんと、もうどこにでもいるわけですね。かの有名なO157でさえ大腸菌ですからね。わりといるわけです。でもなにが人を病気にし、子供やお年寄りを殺すか、というと、つまり量なんですね。そこでさっきの賞味期限の話に戻りますが、賞味期限をすぎると食品はどうなるか。つまり、腐るか、カビるか、とにかくどっちでもいいんですけど、微生物学的に説明すると、腐るにしてもカビるにしても、どっちにしても「微生物が繁殖する」わけです。人間がお腹をくだしてしまうかもしれない量に達するわけですね。これが何を示しているか、というところがすごいところです。つまり、食品には多かれ少なかれ、微生物がいるってことです。問題はその量であって、フレッシュに買ってきたその日から、冷蔵庫に保管してある賞味期限内のその食品にも、微生物はいるという大前提なんですね。そう考えはじめると、すごいなぁと思ってしまうんです。このどれくらいがこれを読んで下さっている方に伝わったか分かりませんが。
で、アメリカではどうしているかというと、アメリカは訴訟社会ですからね。食品会社も慎重です。sell-by-datesというのを表示するきまりになっています。この日まで売ってよし、という日付けですね。それ以降に食べてもそれは消費者の責任ということなんでしょう。もちろん、考え方としては「賞味期限」よりも若干はやめに設定してあるような気もしますね。私は翻訳のお仕事をいただいたりするときに、栄養学関連を選んで受けるようにしていますが、商品などの報告書などを翻訳する時に一番困るのがこの日付け。賞味期限って、訳するのは簡単なんですけれど、アメリカにはそういう決まりはないので、ピンとこないわけです。逆に日本に、sell-by-datesといっても賞味期限とどうちがうの?となるわけです。でもそこは悲しい翻訳者、「翻訳注」というのを入れるしかなくなってくるわけですね。どんな翻訳にもつきものですけど、文化、法律、しきたりまで翻訳しなければ、本物の翻訳にならない場面ってたくさんあります。そこをどこまで割り切れるか、というのが翻訳者のセンスであり才能でもあるのでしょう。


では本文。

食品の表示、賞味期限に統一 「品質保持期限」は廃止へ
 厚生労働省と農水省の審議会「食品表示共同会議」(座長・丸井英二順天堂大教授)は18日、同じ意味で使われながら両省の法律で別々になっている食品の期限表示について、「品質保持期限」を廃止し「賞味期限」に統一することで合意した。消費者団体などからの「わかりにくい」との批判に配慮した。両省は用語の定義を詰めるなどした上で近く省令・告示を改正、2年後をめどに実施する。
 ハムやチーズ、レトルト食品や缶詰などの加工食品に多い期限表示は、国際的な整合性を図る観点などから製造年月日表示に代わって97年から義務づけられた。比較的長持ちする食品の品質を十分保持できる期限として、厚労省所管の食品衛生法が「品質保持期限」、農水省所管のJAS(日本農林規格)法が「賞味期限」を定め、互いにどちらを使ってもいいとしているため、二つの表示が店頭で混在する状態が続いている。弁当や総菜など劣化しやすい食品の安全性を保証する「消費期限」はもともと両法で共通しており、今後も使用される。
 昨年相次いだ偽装表示問題を受け両省が共同会議を設置して検討。「賞味期限」の方が消費者になじみがある▽文字数が少なく表示しやすい、などの理由から支持する意見が大勢を占めた。新語を模索する意見も出たが、最終的に「賞味期限」とすることで一致した。
 厚労省が昨年12月から今年1月にかけ関係41団体を通じ実施した実態調査では、ハムなどの食肉加工品、乳製品、食品添加物、香料、チーズなどは「品質保持期限」が多く使用されている。一方、缶詰、めん類、卵などは「賞味期限」がほとんどだ。

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