大学院受験テクニック

急激に忙しくなってきました。学会発表などの準備にとりかからなくてはならない時期になってきたし。ずっとペーパーを書いています。まぁ、宿題も含めてですけれどね。
先日、T大学のT先生より日本の本をおくっていただきました。「俵屋の不思議」村上友硯著です。きれいな写真もたくさん、内容もとても良く喜んで読んでいます。T先生、ありがとうございました。日本の本はなによりの贈り物です。幸せな気分になります。まもなく私の誕生日も近付いてくることだし(1月6日)、私の住所を握っている優しい数名の方は私に本を贈るなんていうのはどうでしょうか(アナタタチにいっています、熊本のTやC!というより私の好みの本なんて知らないっけ。私は基本的にはどーーーーんな本でも、本であれば大好きよ)。


ところで、ちょっとした発表(というほど大袈裟なものではないですけれど)になりますが、私はこの修士課程が終わったら、どうやらこのままここで博士課程に残ることになりそうです。実は私の考えでは、日本の大学(とくにT大学)に行きたい、と思っていたのですが、ここに残ることにした第1の理由としては、いまやっている研究です。一緒にやっている教授達みんなが、信じられない程いい人々で、私のことをとても理解していてくださるし、しかも何より重要なことに、研究のトピックがおもしろくて、やめられない、という感じです。第2にに、経済的な理由です。もちろんいくつかのグラントに応募するつもりにしているし、できれば巨額のグラントをもらえることになったらいいなーとぼんやりは考えているんですが、万一何ももらえなかったとしても、私が今TAをやっているクラスの先生が、「もし残るのなら喜んで、またやってほしいと思っている」と言ってくださったので、最悪でもこのTAがあれば授業料と生活費のことは心配しなくてもいい、というのがだんだん見えてきたんですね。日本の大学はやっぱり高価だし、たとえ運良く奨学金などをいただけることになったとしても、一番最初に必要なお金、たとえば引っ越し費用だとか、入学金だとかはどうしても大台にのった金額になりそうだし、私に用意できる自信がなかったんです。とても魅力的な就職のお話などもありましたが、私にはまだまだ力不足、といった感じです。というわけで、これからまたさらに数年、ここに残ることになりそうですので、Pullmanのみなさん、これからもどうぞよろしくおねがいしますね。
ということで、私の持っているVisa(クレジットカードの方ではなくて、入国ビザの方です)の関係もあり、修士を終わらせるのを少し後回しにすることにしました。今週から、Hillers先生が、博士課程のプロジェクトを始めよう、と言われたのでそちらに今からは力をいれることになりそうです。今月はまもなくSemesterも終わるので、クラス、仕事、プロポーザルのドラフト、学会発表への準備、などなどに力を入れますが、実際のThesis(修士論文)はこのクリスマスブレイクと来学期の最初の数カ月にがんばって仕上げようと思っています。もうデータもあるし、アナライシスもだいたい終わっているので、あとはひたすらひたすら書くだけです。Methodsなどはもう書き終わっているし。発表の場は、今のところ3ケ所くらいに分けて、3つ、違う観点でアブストラクトを書くことにしました。ペーパーはもっと書くつもりです。まぁ、いろいろとうまくいけばいいですけれど。プロフェッショナルミーティングは参加するだけでもとっても勉強になるし、もし発表できればさらに勉強になるし。あと、人に会える、というのも大きいでしょうね。
あ、そうそう、もちろん博士課程に入るにはちゃんと受験する必要があります。先生は99%くらい受かる可能性がある、と言って下さっていますが、その1%にならないようにがんばることも必要ですよね。大学院受験についてですけれど、今までいろいろな方とお話をしていて思ったことで、私の中でだんだんとまとまってきたことですが、もしかしたら「これからアメリカの大学院に行きたい」と思っているひとには参考になるかもしれないのでちょっと書いておきます。
まず、アメリカの大学院は、特殊な学部を除き、ほとんどの学部が、「基本的に誰でも受験できる」というシステムをとっています。たとえば、私が今、突然、「修士が終わったら心理学部で博士号をとりたいな」と思ったとしますね。そしたら受けることができるし、そうやって全然違う学部からやってきて受かる人もたくさんいます。これが日本の大学とちょっと違うかな?と思えるところ。もちろん、日本の大学院も基本的にはこういった形だとは思うんですが、工学部から文学部へ、というシフトや文学部から理学部へ、というシフトはあまり聞きませんよね。
次に、大学院受験は、大学受験とは違い、まずやることは、ひたすらリサーチだと思います。自分の中で、ぼんやりと「こういうことを研究してみたいなぁ」というのが、多分大学院受験をやる人の中にはあると思いますが(というよりあってほしいですね。「とにかく大学院というところに行きたい」と思っていくとしたら、かなり「日本人的」でちょっと悲しいです)、そういった「自分の行きたい分野」というものをまずきめます。そして、今はインターネットなどが発展していて便利なので、そういうエリアを研究している教授たちをさがします。私が修士課程の受験のときにやったのは、アーティクルをさがすことでした。これは学部別に違いますが、私の場合は、医学関連のサーチサイトである、PubMedなどで、自分がやってみたいトピックのキーワードを入れ、興味深い研究内容を探し、それをやっているのが誰か、どの大学の教授がやっているのか(もちろん大学関係ではないひともいますが)、というのを見ていきます。そしてその教授がいる大学名をピックアップします。そのあと私がやったのは、当時私が信頼していたWSUの教授のところにそのリストを持っていき、その教授が、どの大学を勧めるかどうかを聞きました。つまり、どんなにいい教授がいても、学部のプログラム内容があまり良くなかったり、あと、その学部自体があまりお金がなかったりすると、プロジェクトなどを組みづらいので、そういったことは教授に聞くのが一番だと思ったんですね。私はもともと、「人に聞く」というこをあまり好んでやりませんが、自分でリサーチできない部分は仕方がないと思いました。どの大学のウェブサイトも、「実はあんまりお金はない」だとか「プログラムはあまり充実していない」とかは書いてないし、電話してもきっとそんなことは言わないでしょうし。
一通り、授業料や大学のシステムなどのことを含めた、自分なりの「リサーチ」が終わったら、次にやることは「ひとに会う」だと思います。私は運良く、自分の一番行きたかった大学はUWとうちの大学、WSUだったため、教授とコンタクトをとるのはこの2コの大学だけにとどめましたが、Oregon State UniversityやKansas State University、Colorado State Universityの教授にはメールを送りました。この場合は、私個人の意見だと、ダイレクトに聞くのが一番だと思います。つまり、まず自分のバックグラウンドなどを含めた自己紹介をたっぷりしたあとで、「あなたのいる大学を受験しようと思っていますが、あなたの研究に興味があり、生徒を受け入れるつもりがあるかどうかを知りたいのですがどうでしょうか」という感じです。私が上にあげた大学の先生は全て、私がメールを送ったその日か翌日に、すぐに返事のメールを下さり、「来年から生徒をひとり受け入れようと思っているのであなたの願書が届いたら候補に入れます」とか「前向きに考えたいので、できれば会いに来てください」とか「願書を送ったらもう一度メールをください」とか、わりとはっきり答えてくださいました。「会いに来て」と言った先生にはすぐにアポイントメントをとり、会いにいきました。その時大事なのは、今度はその先生の名前でアーティクルを検索して、最近のその教授の研究をしっかりと勉強していくことだと思います。あと、質問などをリストにして持っていくのもいい考えだと思います。私はメールのSigに自分のホームページアドレスを入れているので、ほとんどの教授がそれを見て下さっていて、話題づくりにもなりました。英語でホームページを作っていて良かった、と思えた(たった)数回のうちのひとつでもあります。
教授と一通り話をした後、自分なりに、どの大学院を本命にするのかなどを整理して、それから初めて願書を準備します。アメリカの学生さんは平均4から6校ほど受験するそうです。多い人は多いですよ!あと、アメリカの大学は基本的に「受験時期」というものがないので、締めきりの前であれば、1日前であろうと、1年前であろうと、2年前であろうといいはずなのでこれはさっさとやってしまったほうがいいと思います。私の場合は、1年前から始めました。願書はウェブからダウンロードできる場合がほとんどですが、いくつかの大学はメールを出して願書を送ってもらうようなシステムになっています。オンラインで願書を出せる場合もありますが、お勧めしません。自分に記録が残らないからです。とりあえず日本人留学生として、必要なのは、基本的に次の6項目です。

願書
自分のことや将来のこと、やりたい研究のことなどを書いたエッセイ
成績証明あるいは卒業証明
3人からの推薦状
GRE(大学院の共通試験のようなもの)のスコア
TOEFLのスコア(アメリカでバチェラーを取ると必要ない場合が多い)

願書のインストラクションはだいたい「これらすべてをひとつの封筒にいれて。。。」などと書いてありますが、基本的には、願書だけを1枚送って、あとは徐々に準備していけば大丈夫だと思います。GREは1ヶ月に1回以上は受けられないので準備が必要です。成績証明は最後でいいはずです。推薦状は書いてもらう人をきめたら早めに頼むといいと思います。アメリカ人は一般的にルーズな(いえ、忙しい、という意味でもあります!)人が多いので、いつまでたっても書いてくれない場合があります。TOEFLは私はなんと、人生の中で一度も受けたことがないので、ちょっと分かりません。GREと同じような感じで考えていいのではないでしょうか。
上にあげた中で、私が一番重要だと思うのはエッセイです。かなり重要です。気合いを入れて、ちょっとくらい自分のことをほめ過ぎるようなスタンスで書いたらいいと思います。グラマーミスなどもチェックしてもらえるのならしてもらったほうがいいと思います。英語に問題のある生徒はあまり欲しくない教授がほとんどだろうと思うから。つぎにまぁまぁ重要ネのは推薦状だと思いますね。例外もあるでしょうが、「パワーのあるひと」から推薦状をもらう、というのはあまり意味がない気がします。「学部長」とか「学長」とか、もちろん多少は肩書きも影響するかもしれませんが、「ちょっと知っている」という程度の人だと意味がないと思います。そのためにも、日頃からいろんな教授と仲良くなっておくことが大事ですね。そして自分のことをよく知っている、理解してくれる、と思える教授などから推薦状をもらうのがいいと思います。推薦状を書いてもらうことを頼むときに、「参考に私のレズメもあげましょうか?」と言ったら、「いいね!」と言って受け取ってくれた先生もいましたので、日頃からちゃんとした履歴書を準備しておくのも手だと思います。私の場合は、当時仕事をしていたので、そこのダィレクターと、当時信頼していた教授(もうリタイヤされました)と、アドバイザーだったShultz先生という教授から推薦状を書いてもらいました。誰も場合もそうだと思いますが、たいてみなさん、照れくさくて下を向いてしまうほど、いいことを書いてくれますよ。
成績とGRE、あとTOEFLは基本的には「ボーダーライン」でしかないと思います。それぞれの学部が、「最低GPA(成績)」のラインと、だいたいの基準となるGREやTOEFLスコアなどを教えてくれると思うので、それに従えばいいと思います。もちろんどちらも高ければ高いほどいいでしょうが、私にはそこまで死ぬ程重要には見えません。「大学院受験で落とされる、70%の人の理由が、『アドバイザー(その生徒を受け入れてくれる先生のこと)がいないこと』ですよ」と言ったのは私のアドバイザーであるHillers先生。極端な例をいえば、教授が興味を示せば、たとえGREなどが低くても目をつぶる場合があるということです。これが、最初に「ひとと会う」ということが大事だと書いた大きな理由です。
あとは請求される書類を送り、結果を待つ、という感じです。「人と会う」というステップであまりに仲良くなりすぎると断るのもつらくなるので難しいところですね。Colorado State UniversityはI-20(移民局系の書類)まで送ってくれたりしたし、Oregon State Universityの先生はその大学にいる日本人を紹介してくれたりしてちょっとびっくりしたので、「私はこの大学に決めました」というようなメールを最後に送るのも大事かもしれません。私はそれを忘れたので最後まで大変でした。最後に、「どうやって実際に行く大学をきめるか」ですが、これもなかなか大変ですね。いろんなことをバランスしながら考えなければならないので私も胃に穴があくほど(?)考えました。最終的にはUWとWSUで悩みましたが、UWは留学生にはTAは2学期目からしかあげない、ということを知らされ、350万円の銀行証明を出しなさい、と言われたのが決定打になって諦めました。だって350万円もってなかったから。でも今となって考えればこのWSUにして大正解でした。私は人に恵まれ、これ以上はないと思えるようないい環境の中で勉強&生活しています。
とまぁ、だいたいこんなところでしょうか。少しでも大学院受験をされる方の参考になったでしょうか。なんだかいっぱい書いてしまって気付いたらもう夜の9時!!やることはたくさんあるのに!まぁ、この大学院受験のプロセスは、自分自身でも覚えておきたかったのでいいですけれど。それではそろそろ勉強を再開します。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *